内容証明郵便は個人で送る事もできますし、行政書士などの法律家に委託する方法もあります。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いつ(手紙を発送した日付)、誰(差出人)が、誰(受取人)に対してどのような内容の文書を送付したのかを日本郵便株式会社(通称:日本郵便)が証明してくれる手紙であり、その文書を発送した事実について「証拠を残す」という役割があります。
法的拘束力はないものの、相手に対してかなりの心理的効果をあたえることができます。
ただ、相手にとっても重要な証拠になりますので、事実に反する事柄や脅迫などの内容を記載してはいけません。場合によっては慰謝料の請求ができなくなるおそれもあります。
できるならば、内容証明郵便の作成は法律家に頼んだほうが安心ですし、差出人に法律家の名が入れば、相手にかなりのプレッシャーを与えることができます。
- 「配偶者の浮気相手に交際を止めさせたい」
- 「配偶者または浮気相手に慰謝料を請求したい」
- 「協議離婚の通知をしたい」
- 「子供の養育費の請求をしたい」
- 「子供との面接交渉権を要求したい」
- 「財産分与や婚姻費用の分担を請求したい」
- 「ストーカー行為を止めさせたい」
このような場合には、現在の状況を見極め、今後の対応を充分に検討したうえで内容証明郵便による催促をしましょう。
内容証明郵便の作成
作成については郵便規則で字数や行数、形式が細かく決まっています。
簡単に手順をご説明します。
用紙
内容証明専用の用紙は文具店や裁判所内の売店などで市販されていますが、用紙の種類や大きさに制限はなく、原稿用紙、コピー用紙、便箋などでもかまいません。
一般的にB4、A4、B5判などを使用します。
封筒
どのような封筒でも自由ですが、郵便局において文章の形式が正しいか確認するので、封をしないで郵便局へ持参してください。
筆記用具
手書きの場合、鉛筆よりボールペンのほうが良いでしょう。
ワープロやパソコンで作成してもかまいません。
字数、行数
縦書き、横書きのいずれでもかまいません。
縦書き・・・1行20字以内、26行以内
横書き・・・1行13字以内、40行以内または1行26字以内、20行以内
句読点や記号は1個1字として数えます。括弧は前後を合わせて1字とします。
枚数は自由ですが、複数の枚数になる場合はのりやホッチキスなどで綴り、そのつなぎ目に契印(署名押印で使用した印鑑と同じもの)します。
文字
かな文字(ひらがな、カタカナ)、漢字、数字(算用数字、漢数字)、句読点、括弧、記号を使用し、英語は使用できません。ただし、氏名や会社名などの固有名詞は英字の使用ができます。
必要な通数
同文の文書が、相手方への送付用、郵便局の保管用、自分の保管用として3通必要です。
3通を別々に手書きしても、コピーでも、内容が同一であればかまいません。
内容文
「通知書」や「請求書」などといった表題は書いても書かなくてもかまいませんが、一般的には表題をつけた内容証明郵便が多いようです。
時候のあいさつや結び文なども自由です。
大切なのは相手に伝えたい内容を分かりやすく記載することであり、書き忘れや金額等の間違いがないように、チェックも充分にしましょう。
受取人、差出人の住所・氏名の記入
手紙と封筒には受取人、差出人の住所・氏名をそれぞれ同一に記入します。
一般的には手紙文の末尾の余白部分に記入しますが、手紙の冒頭でも文中でもかまいません。
印鑑
差出人の名前の下に印鑑を押さなければならないという規則はありませんが、正式な文書であることを示すために押印は重要です。
同封物
内容証明郵便で証明されるのはあくまでも手紙の存在であり、封筒に手紙以外のものを同封する事は認められません。
したがって、借用書のコピーや写真などの資料を相手に送付したい場合は別便で送らなければなりません。
取扱郵便局
内容証明郵便をポストに投函することはできません。
日本郵便が配達を行う事業所のある郵便局および日本郵便が指定する一部の郵便局で取り扱っていますので、事前に郵便局に電話などで確認しましょう。
窓口での手続き
郵便局窓口で内容証明郵便を送りたい旨を告げて、3通すべての手紙と封筒を提出します。
3通すべての手紙が同一内容であると確認されれば、費用を支払い、局員立会いのもとに封をします。
郵便局から手紙1通と受領書を受け取ります。
配達証明
内容証明郵便が受取人に配達されたことやその時期を証明するために、配達証明にして欲しい旨を告げてください。
料金
- 内容証明料金 430円(1枚の場合)※1枚増えるごとに260円増
- 書留料金 430円
- 普通郵便料金 82円(定形郵便25gまで、50gまでは92円)
- 配達証明料金 310円(差出後は430円)
たとえば、1枚の内容証明を定形郵便(書留扱い)で配達証明を付けて送付した場合は合計1,252円になります。内容証明郵便が相手に届くと、数日中に「郵便配達証明書」というハガキが送付されますので、このハガキも大切に保管してください。