依頼者様との打ち合わせの結果、奥さんが残りの荷物を取りに戻られるときに尾行して住んでいる場所を突き止め、奥さんが一人で住んでいるのか、誰かと同居しているのか、仕事はしているのかなど、真相を明らかにしていくことになりました。
手掛かりは奥さんが取りあえずの連絡先だとして書き残した神戸市にある友人宅の住所があるだけで、奥さん自身がどこに住んでいるのか全く不明でした。
尾行調査当日、当初奥さんの移動手段は、奥さんが所有する軽乗用車だろうという情報でしたが、車ではなく移動手段は新幹線でした。
どの駅で降りるのか、また降りてからの移動手段がタクシーか、それとも迎えに来る車があるのか、新幹線を降りた次の移動で、尾行不能状態に陥る可能性が高くなりましたが、ともかく運を天に任せた尾行が始まりました。
自宅から最寄り駅までバスで向かい、在来線で広島駅へ到着すると、事前情報どおり新幹線に乗り継ぎました。行き先は依然不明ですが、尾行は順調に進みました。
新大阪駅でようやく下車した奥さんは、ターミナル2階のタクシー乗り場でなく1階の送迎の乗用車が利用するロータリーに向かいました。本来ならここで万事休すになるところでしたが、一か八か調査スタッフの1人が2階のタクシー乗り場へと走り、すばやくタクシーを拾って1階ロータリーへ下ると、間一髪迎えに来た軽乗用車へ奥さんが乗り込むところに間に合いました。
タクシーの運転手さんも尾行であることを告げると快く了解していただき、俄然張り切って尾行に協力していただけました。車は新大阪駅から新御堂筋線を北方向に走り、まっすぐに吹田市佐竹台にある古い公団住宅の駐車スペースに停まりました。軽乗用車の運転席からは40代の男が降り、奥さんと一緒に同住宅の1階へと入りました。
何とか奥さんの住居を突き止め、次の調査段階である、男の身元や職業、奥さんの現在状況などの調査へと進みました。その後、男は美容機器販売会社の営業マンであること、奥さんは仕事先がまだ見つかっておらず、職探しをしている毎日であることが分かりました。さらに男性はバツイチであることも判明しました。
依頼者様は当初から話されていた通り、奥さんや男性を慰謝料請求で訴えるかわりに、お子さんたちの将来を考えて、依頼者様自身がお子さんを手元において育てることを望み、親権を強く主張されました。
幸いにも不貞相手の男性は様々な問題をかかえ、子どもたちを引き取れる環境にありませんでした。慰謝料請求を放棄する代わりに奥さんを説得し、親権・監護権を依頼者様とすることで最終的に決着しました。
その後、2人のお子さんに対する心の傷を最小限にするため、依頼者様のご両親やご兄弟も一致協力されているそうです。
なお、奥さんが持ち出した預金やキャッシングの使途は、そのほとんどが男性の借金返済に充てていたそうです。奥さんが結局はお子さんを捨て、贅沢ではないにしろ安定した生活を捨て、不倫の果てに、なぜあえて将来的に不安だらけの道を選択されたのか、不思議に思うのは私だけでしょうか。