当社では、依頼者が他の探偵社に依頼して失敗に終わった案件を引き継ぐ事がままあります。
そういった案件の対象者には場慣れというのか、調査をされる事を前提として、追尾者を探しながら動く人が多いのです。
こちらとしても手強い相手ですが、プロとして成功して当たり前であり、失敗は許されませんので調査の成功を依頼者様にお約束致しております。
しかし、今回お話する案件は初回依頼なのが不思議なほどの難しい調査でした。
その依頼者様は10年前に結婚した妻との間に2子をもうけ、日々平穏に過ごされていました。
が、ある日突然妻から離婚を言い渡され、その離婚理由を問い質しても何とも曖昧で到底納得できないようなものでした。
当時、依頼者様は自らが建てた二世帯住宅で家族、そして妻の両親と共に暮らしておられたのですが、妻とその両親から子供を置いてこの家から出て行けと言われ、更には子供の養育費として何千万払えと。
結果、四面楚歌の状況下で依頼者様は混乱し、思い悩まれた末に当社を訪れ、妻の素行調査を依頼されたのです。
早速調査を開始したところ、依頼者様の妻である対象者は極度の警戒行動を見せ、非常に難しい調査となる事がすぐにわかりました。
その一方で、初回の調査依頼でここまでの警戒行動は何か後ろめたい事がある人間にしか見られませんので、やはり対象者には離婚をしたい要因が他にあるものと判断し、更なる注意を払って調査にあたりました。
連日苦戦を強いられている中のある日、対象者が雑貨店へと入っていきました。
普段、この対象者が追尾者を見つけるべく、目的も無く店舗に入っては出入口を見張るという行動を繰り返しとっていた為、調査員は店内には入らず対象者が使用している車両の監視を行っていたのですが、1時間ほどしても対象者は店内より出て来ません。
もちろんその店舗の出入口も監視していたのですが、対象者が店内から出た様子もありません。やむなく調査員が店内に赴いたところ、対象者の姿はありませんでした。
しかし、出入口より対象者は出ておらず、車両も同店駐車場内に入庫されたままです。
よくよく調べてみると、その店舗内にある関係者通用口から裏側のマンションに抜けられる事がわかりました。
それからは危険な対象者の直接追尾を避け、このマンションの出入口を高台から超望遠カメラで確認する日々が続きました。
そして数日後、対象者が同マンションへ現れると、辺りをしきりに見まわしながら中腰になり腰壁に隠れるようにして歩き、その中の一室の鍵を開けて入っていったのです。
ここが対象者の不倫相手の家だったのです。
その後も対象者は店内での入店者確認や、無意味な迂回、身を屈めて不倫相手宅へ入るなどの警戒行動をとりながら不倫行為を重ねました。
結果的に対象者のこの警戒行動は、不倫を自ら認めた行動であるという証拠としても調停で威力を発揮し、対象者の請求は棄却され、依頼者様の請求どおりの結果となりました。
大変な調査ではありましたが、依頼者様の期待に応える事ができ、何とかプロとしての面目を保つ事ができました。