数年前、ある依頼者様から奥さんの浮気調査をお受けし、不貞事実を明らかにする証拠を取得して、私たちが請け負った調査は完了しました。
調査完了後しばらくして、依頼者様から「今後、僕はどうすればいいんでしょうか?」と連絡がありました。
調査を依頼される際には、「もし本当に妻が浮気していたらその事実を明確にして、相手にそれなりの慰謝料請求を行なうとともに妻との縁切りを要求すれば、相手も遊びのつもりで妻を誘惑していたんだろうから、すぐに妻とは別れるでしょう」と強気に構えておられました。
その後の調査で浮気の事実が明白となり、奥さんとの話し合いで浮気に至った理由を尋ねたところ、「あなたが仕事に忙しく家庭を顧みない日常生活の中で、図らずもその男性と話しをする機会が増え、いつしかその時間が楽しく、次に会える日を待ち望むようになった」と告白されたそうです。
そんな奥さんの気持ちを聞いた依頼者様はもともと離婚する気はありませんでしたから、「私が仕事を理由に家庭を放っておいた事で、妻の心に隙ができてしまい、それが原因で起きた一時の過ちであり、私にも責任がある」としてそれ以上問詰める事はなく、夫婦関係の修復に努められたそうです。
ところが、その後に依頼者様が浮気相手の男性に慰謝料請求をしたところ、奥さんが突如、2人の子供さんを連れて実家に帰る事態になってしまったそうです。奥さんの言い分として、「やり直しができるかもしれないと、やっと気持ちに整理がついた時、あなたが相手に慰謝料請求した事により、本当は許してくれた訳ではないと分かりました。もちろん自分が悪いのは間違いないのですが、この家には私の居場所はもうありません」と言い残し出て行ったそうです。依頼者様が奥様にかけた温情も、結果的には夫婦間にできた溝を表面的に覆い隠していただけで、根本となる心の結び付きの修復はできていなかったようです。
依頼者様は奥さんが実家へ帰った後、私に連絡をくださった為、、私としては、「奥さんを大事に思われるのでしたら、浮気相手への慰謝料請求はいったん取り下げ、そのうえで奥さんと本音の話し合いができるように、環境作りをする事から始めたらどうでしょう」とアドバイスさせていただきました。
しかし、浮気相手の男性のあまりにも誠意のない態度に、依頼者様はとうとう慰謝料請求を取り下げる事なく、訴訟へと発展してしまいました。