その後、マルタイが幼少期を過ごした福山市内のとある住宅街で聞込みを行ったところ、「とてもやさしくておとなしいええ子じゃった。」と近隣の住人が口を揃えて言われました。
大学を卒業してこの福山の実家へ戻ってからもまじめに仕事に通っており、休日に余り外へ出るようなタイプではないが、それでもこちらから挨拶をすれば、少し照れくさそうにはにかみながら会釈はする子だとの事で、「遊び方も派手じゃないし、お酒好きという事もなく、そういう意味では両親も安心しておられるのじゃないか。」という話でした。
ここまでで曖昧ではありますが、マルタイの大体の性格(気性)というものが把握できたのですが、依頼者の山田さんに報告できるほどの具体的な内容は得られていません。
そこでマルタイの人格形成に少なからず影響を及ぼしていると思しき、マルタイが学んだ京都市内のとある大学へ赴き、マルタイの恩師(担当教授)を訪ねる事にしました。
とはいえ、マルタイの恩師が誰であるかは同時点では全く解らない為、まず、この点を明確にする事にしました。
昨今、個人情報保護法案が施行され、特に教育機関等はその点に関して敏感(というよりはやや過敏)になっています。
その為、私は同大学の事務局へは問い合わせず、直接学内へ入って、山田さんから事前情報としてマルタイが経営学を専攻していた事をヒントに同大学で経営学を教える教授を確認しました。
幸いにも同大学で経営学を担当する教授は1人だけでした。
私はその50代半ばの男性教授にコンタクトをとり、マルタイについて語って頂ける事となりました。