「探偵」というイメージは一般的にどのように見られているのでしょうか。
古くは明智小五郎から始まり、最近では名探偵コナンといった難事件を解決するヒーローをイメージされる方も多いかもしれません。ただ、実際の探偵の仕事で「刑事事件」を扱う依頼は皆無といっていいほどありませんし、殺人事件のトリックを警察に代わって解き明かす事などありえません。
刑事は警察手帳の威光でどんな事でも聞き出せますが、私たち探偵には個人情報保護法という大きな壁が立ちはだかっており、事件解決など夢のまた夢の話です。
私たち探偵の仕事の多くは浮気・不貞調査です。
この調査には張り込みという作業が必要になってきますが、昨今の児童が狙われる事件の多発に伴って、学校周辺はもちろん住宅街での長時間の張り込みは、不審者・不審車両としてすぐさま警察に通報されるようになり、本当に調査が難しくなってきました。
車の中から監視をするケースも多く、エンジンをかけたままの車がずっと停車しているとやはり不自然な印象を与えてしまうため、エンジンは切った状態で車の中に潜むのですが、夏はまさに地獄です。少しだけ開けた窓の隙間から入る僅かな風が救いです。
逆に、冬もエンジンを切った車内は相当冷え込む為、快適とは言いがたい状況です。寒さについては厚着やカイロなどである程度しのぐ事ができますが、冬の一番の大敵は冷えによる尿意です。調査前にトイレに行っておく事はもちろんですし、水分補給は極力控え、尿意を感じても調査中は極限まで我慢しますが、最近は携帯トイレという便利なグッズがありますので張り込みしながら用を足す事ができます。
こんな苦労をしながら証拠を集めていくのが探偵の仕事です。証拠を取らなければこれらの苦労は全て無意味となってしまいます。少しは探偵業の実情をお分かり頂けたでしょうか。