日本では信教の自由が保障されていますが、それでも特定の宗教団体に属していると色眼鏡で見てしまうものです。
今回は結婚間近で婚約者から親がとある宗教団体に所属していることをカミングアウトされたMさんのご依頼でした。
大学を卒業後、広告会社に就職したMさんは仕事のつながりでAさんという同年代の女性と出会います。
Aさんとは気が合い、仕事以外でも飲みに行く仲になり、1年ほど経った日、お付き合いを始めたそうです。
なんでも気兼ねなく話ができたそうなのですが、実家関係の話になるとAさんはあまり家族の話については触れてほしくなさそうな態度をとっていたそうです。Mさんも複雑な家庭なのかもしれないとAさんは気を使っていました。
時がたち、ついに結婚の約束までしたある日、MさんもAさんが家族の話をしたがらないことは承知で、結婚するからにはご両親に挨拶がしたいと切り出しました。
するとAさんの口から驚くべきことが告げられました。Aさんのご両親はとある宗教団体の属しており、しかもそれなりの役職についていると。
続けて、Aさん自身はその宗教団体とは全く関係がなく、両親とは縁を切っているからMさんは両親のことについては気にしないでほしいと言われたそうです。
Mさんもその時には問題ないと感じたそうですが、時がたつにつれAさんの行っていることが本当かどうかどうしても気になり、Aさんが地元の友達に遊びに行く3日間調査をして、本当に両親と縁をきったのか、宗教団体とは無関係なのかを調べてほしいとご依頼がありました。
調査1日目、Aさんは車を走らせ、Mさんに伝えていたAさんの友人宅へと向かいました。
その後、友人と食事をたのしみ、ショッピングモールで買い物を楽しむなど、なんら不自然な動きはありませんでした。
しかし、調査2日目、Aさんは昼過ぎに友人宅を出ると、Aさんのご両親が住む実家へと向かったのです。
Aさんは車の助手席にAさんの母親と思われる中年女性を乗せると、近くのスーパーで一緒に食料品を購入し、そのまま実家へと帰りました。両親と縁を切ったというのは嘘だったようです。
そして調査3日目、昼過ぎにAさんはご両親の運転する軽自動車の後部座席に乗り込み、移動を開始しました。そして軽自動車はとある宗教団体の集会所の駐車場へと停まりました。
ただ、ご両親は車から降り、中へと入ったのですが。Aさんは後部座席から降りることはなく、10分ほど経った後、ご両親が車に戻ると、宗教施設を後にし、帰宅されました。その後、Aさんが実家から出てくることはなく、翌朝、両親に見送られがらMさんと住みマンションへと帰りました。
調査報告書を見たMさんは嘘をつかれていたことに驚いていましたが、自分も親が宗教に傾倒していたらAさんと同じように隠していたかもしれないだろうと思い、もう一度Aさんと話し合いをすることにしたようです。
結果的にAさんは両親との縁を切ったというのは本当ではありませんでしたが、宗教団体へは所属していないことがわかりました。
その後、予定通りMさんとAさんは結婚し、幸せな結婚生活を送られているそうです。
日本ではオウム真理教の影響で、宗教団体に対して悪印象を持たれている方もいるかもしれませんが、中にいる人々が100%悪いというわけではありません。
探偵白書ではご依頼者のプライバシーを確守するために、どこの宗教団体に所属しているかは伏せますが、このような調査を行うことも可能だということを知っていただきたいです。