別居により夫・妻の目が届かないのを良いことに浮気する人はたくさんいますが、これに対して慰謝料を請求しようとすると、「夫婦関係の破綻」を盾にとられることが多くあります。
たしかに、婚姻関係が破綻していれば、たとえ配偶者以外の異性と性的関係を持ったとしても、慰謝料の支払義務はありませんので、浮気している側は、とりわけ婚姻関係の破綻を主張します。しかし、慰謝料を逃れるためや離婚するため、一方的に破綻を言い張ったところで、配偶者が破綻しているとは思っておらず、破綻の証明もできなければ、認められることはありません。具体的には次のような場合であれば、別居中の浮気であっても慰謝料の請求ができます。
単身赴任
会社の人事異動で転勤となり、別居生活を余儀なくされる場合は、当然のことながら夫婦関係の破綻とは言えません。したがって、赴任先で夫が浮気したり、夫の赴任中に妻が浮気した場合は、慰謝料請求の対象となります。
別居中も定期的に会っている
妻が夫の別居先へ行って掃除したり、別居中の夫が自宅へ戻って妻や子供と食事したりすることが定期的にあれば、手帳やカレンダーにきちんとメモしておきましょう。もし、配偶者から夫婦関係の破綻を主張された場合にも対抗できます。
夫婦の一方が勝手に別居をはじめた
配偶者が急に「一人になりたい」などと言って、話し合いにも応じることなく家を出て行った場合、正当な理由がない別居ですので、同居義務違反による慰謝料請求の対象にもなります。
夫婦関係を修復するための別居
夫婦が元どおりの結婚生活を取り戻すことを目的として一時的に別居したのであれば、たとえその後どちらかが夫婦関係の破綻を訴えたとしても、修復目的の別居であることが証明できる合意書やメモなどがあれば対抗できます。
もちろん、いずれのケースにおいても浮気の証拠が必要になりますので、何の準備もなく慰謝料を請求しないようにしてください。