「離婚して会うことができなくなった子どもや孫の写真が欲しい」という依頼をたまにお受けする事があります。
離婚の際に、子どもとの面接交渉権について取り決めをしている方もいますが、実態としては元配偶者およびその両親の阻害により、別れた子どもや孫と会うことができない、顔を見ることもできないといったケースが多く見受けられます。
ときには現在子どもや孫がどこに住んでいるのか分からないという方もいます。そういった方々が、成長した子どもや孫の写真撮影を依頼されるのです。
お子様、お孫様の通学風景や友だちと遊んでいるときの笑顔など、日常の姿を押さえて報告するわけですが、赤ちゃんのころに別れた子どもや孫が現在どう暮らしているのか、どう成長しているか、そういった気持ちで結果を待たれますから、調査報告の写真や映像を見て感極まり涙を流される方もいらっしゃいます。
仕事柄、離婚調停や協議離婚の際の取り決めについてアドバイスをする機会が多いのですが、今回のようなケースも、面接交渉権についてきちんと公正証書に残していれば、自己の正当な権利として、堂々とお子様に会いに行くこともできたでしょう。
しかしながら、お子さんの心情を無視して、親が一方的に元配偶者に会わせないようにすることは問題があります。妻の浮気により離婚した夫が、久しぶりに小学生の娘と会った際に、「お父さんと話をすると、お母さんやおじいちゃんに怒られるから…」と言われ、やり場のない怒りに身体が震えたというような事例もあり、子どもの人格形成にも少なからず影響を与えるものと思います。
面接交渉権とは親の権利であると同時に子どもの権利でもあります。
写真や映像のみでしか子や孫の姿を見ることができない人や、住所は判っていても会いに行くことが許されていない人はたくさんいます。私たちの調査によって喜んでいただけても、それは根本的解決ではありません。
相手との交渉、場合によっては代理人や弁護士を介して交渉し、面接交渉権の主張をするしかないのですが、子どもの心理面の影響も考慮しなければなりません。当たり前の権利を行使するために、これだけの回り道をしなければならないとは、なんともやりきれません。
万が一、離婚となると煩雑な手続きや心理面の葛藤など、精神的に疲れることが多くなります。だからといって細かな点を詰めずに曖昧にしてしまうと、後で悔やむことにもなりかねません。
互いによく話し合い、必要に応じて法的アドバイスを受けて、きちんとした取り決めを書面で残すことが重要であると思います。