フォーチュン広島の探偵白書:子供のために慰謝料を請求しない?

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依頼者様の意外な決断(後編)

山田さんの依頼を受けての調査は、決定的な証拠がつかめないまま日にちだけが過ぎていった。

そんなある日、山田さん一家が一泊旅行に出かけることになったが、奥様は体調不良を理由に旅行を欠席するという。さっそく調査員は奥様の行動を終日監視することにした。

山田さんが子どもたちと旅行に出発すると、奥様は早々と交際相手のS氏の家に車を走らせ、翌日、2人がS氏宅の玄関から腕を組んで出てくるまで、丸一日をS氏宅で過ごしたのだった。

それから数日後、山田さんが事務所に来られて調査結果を報告したが、山田さんは何か思い悩んでいる様子だった。山田さんにしてみれば、調査を開始したころは、S氏を糾弾して元の家庭を取り戻すつもりだったが、調査期間中に山田さんの気持ちを変える事件が起きていたのだ。

夫婦間の亀裂が既に子どもたちの知るところとなり、そして奥様は長女にS氏を紹介していたらしく、山田さんは長女から、「お母さんがどうしてもSさんと暮らしたいのなら、私たちもお母さんとSさんのところへ行く」と告げられたという。
山田さんはその言葉に深く傷つき、少しずつ考えが変わっていったらしい。そして山田さんは、「今回、相手から慰謝料を取ることは諦めます」と言い、何より私が驚いたのは、山田さんの次の言葉だった。

「私が今、S氏を社会的に追い詰めてしまえば、自分は子どもたちからの信頼まで無くしてしまうのではないでしょうか。子どもの幸せを願っているのは父親である私が一番であることを示したいし、子どもたちの生活まで窮地に追い込むことだけはしたくない。辛いことですが、もし妻や子どもたちがS氏のもとで幸せになれるなら、S氏が私より人間として優れていたということに他ならないのですから…」

私は山田さんに、「山田さんがいかなる断腸の思いで今回の結論に達したか、ということをS氏に伝えさせてください」とお願いしたが、山田さんは私の申し出を断り、裁判に向けての弁護士への手続きも取らなかった。山田さんの決意の固さを知り、私はそれ以上何も言うことはできなかった。

後日、山田さんから届いた手紙にはこのように記してあった。
『妻から突然に別れを切り出されてからの私は、狂気の世界にいたように思います。誰にも相談できず、怒りと絶望にもがくしかできない自分に対して、これからどうしなければならないのか、この事態にどう向き合うのか、重川さんからアドバイスをもらい、励ましていただいたお陰で何とか自分を平静に保ってこられました。(中略)今回は妻と子どもたちに賭けてみようと思います。それが自分へのペナルティーだと思うのです。3ヶ月間にわたる親身な励まし、ありがとうございました』

私はこれまで多くの人と接してたくさんの案件を見続けてきたが、不貞をはたらいた相手の将来(子どものことが主であっても)を冷静に思いやる依頼者は初めてだった。
山田さんにとってはこれからが本当に辛い日々の始まりであろう。でも、それは家族を守るために山田さん自身が選んだ道であり、このような選択をした山田さんの気持ちを、奥さんや子どもたちが理解する日がきっとくると私は信じたい。