探偵業法について-2-

引き続き、探偵業界の清浄化に向けて施行された「探偵業法」の裏話をお話します。

探偵業法が施行されるにあたり大きな力となった平沢勝栄議員が、同法が制定される以前、国会の衆議院内閣委員会で平成13年3月28日に行なった質問があります。この質問は当時、探偵業界の在り方が問題になる中、業界の問題点の核心をつくなかなかの名質問だったと私は思っています。議事録から抜粋して紹介しましょう。

平沢勝栄委員(前略)
「今、日本は、色々な業界について、それを規制する業法というのがあるわけでございますけれども、その業法の全くない、ループホールといいますか、野放しの業界というのもあるわけでございます。その中には、例えば、調査業、俗に探偵とか興信所と言われておりますけれども、この調査業というのも全く業法がないわけですから、例えば暴力団が電話一本で今日からビジネスを始めようとすれば、これはできるわけでございます。
(中略)
この業界については、全く国民の皆さんに被害とか問題がなければ、それはそれでいいんですけれども、現実には、私の知る限り、相当大きな被害が出ている。にもかかわらず、全く当局の規制というか、業法の制定もなされていない。それはいかがかなということで、2年前にも私、地方行政委員会で質問させていただき、警察庁の方から、法制化も含めてこれらについては今後検討してまいりたいという答弁をいただきました。
その後の取り組み状況について、ぜひ今日答弁をいただきたいと思うんです。まずは調査業についてお伺いしたいと思うんですけれども、電話帳というのがありますね。タウンページというかイエローページ。あれを見ますと、50ページくらい、ものすごいものです。ものすごい調査業の広告が出ているんです。依頼する人は、どこに依頼していいか分からないから、そういうところを見て恐らく依頼するんでしょう。
ところが、いろいろ聞いてみますと、あそこの電話帳は、もちろんいい業者もいるでしょう。ところが、いいかげんな業者も少なからずあるらしいんです。そこに依頼する。そうしますと、全然調査もしないで料金を吹っかけられるとか、あるいはなかなか解約に応じないとか、そういったトラブルが絶えない。2年ほど前で、大体推定で最低100億以上の被害はあるだろうと。
しかし、依頼する方も依頼内容を隠したいという心理が働きますから、表に出ない被害もいっぱいあるだろうということが言われているわけでございます。
(中略)
ご所見を聞きたいと思います。
というような質問でした。見事に一般庶民の立場から見た業界の腐敗体質を彼独特の口調でとらえていました。この質問の中に、非常に大きな問題点があることに気付かれた読者の方はいらっしゃるでしょうか。質問中にあった被害額は最低100億でしたね。最低で100億ですから、これが氷山の一角に過ぎないとすれば、実際には数百億の被害にのぼっている可能性もあるのです。逆にいえば、被害額だけで数百億の規模ということは、業界における調査依頼全体の額は数千億の規模になるでしょう。探偵業を身近に感じる機会はそうないかもしれませんが、調査が必要な方はこのようにたくさんいらっしゃるのです。ある意味で、適正化・透明化が進めば、調査業は社会に必要とされる業種であるといえるでしょう。調査を依頼したい人がいても、自分の期待に応えてくれる探偵社をどうやって探せばよいのか、電話帳でいい業者を引き当てる確率は予想以上に低く、運頼みに近いのです。だからこそ、このたびの業法は、消費者のための法律でありながら、探偵業者が待ちわびていた法律に他なりません。