妻の家出理由-3-

その後、Tさんのご両親も加わり相談のうえで、お母さんがA子さんの家に電話する事になりました。
想像したとおり、向こうもA子さんの母親が電話の応対に出ました。夫であるTさんに嘘をついて、実家にかくまうような事をしている理由を尋ねると、A子さんの母親は次のように弁解したそうです。

「娘は、結婚生活に疲れきって戻って来たと言っています。気持ちが落ち着くまで、旦那にはここにいる事を知らせないで欲しいと言うので、そちらにはあえてお知らせしませんでした。娘たちは時期が来たら必ず戻しますので、今はしばらくそっとしておいてやってください。」との言い分でした。
意外にも一歩引いて懇願するような話し振りだったので、Tさんとご両親はその申し出を受け入れて、A子さんと子供たちの帰りを待つ事にしました。

Tさんは毎日じりじりする思いで、帰るという連絡を待ち続けていましたが、A子さんの実家から一度も電話はなく2週間が経った頃、裁判所から1通の封書が届きました。訳が分からず封を開いて見ると、「審尋期日呼出状」とあり、そこには配偶者暴力に関する保護命令申立てとして、A子さんの陳述書が添えられてありました。その記述には、Tさんにはまったく身に覚えもないA子さんへの暴力行為が綿々と書き記されていました。A子さんの母親が「必ず戻すから、もう少し様子を見て欲しい。」といった言葉は、時間稼ぎでしかなかったという事です。

事態の対応を一任された私はすぐ、専門家である弁護士さんに相談をお願いし、後日Tさんのご両親を含めての面談となりました。Tさん親子の話を聞いた弁護士は、「こんなに簡単にDV(ドメスティックバイオレンス)の申請が通る事はないのですがね。」と首をひねりながら、改めてTさんに「暴力行為は本当にないのですね。」と念押しされました。

Tさんは打ちしおれながらも、「口喧嘩の勢いで妻から叩かれた事はあっても、自分が手をあげた事はただの一度もありません。陳述書に添付されてあるこの写真は、一月前に妻が原付バイクで転倒して、軽い怪我をした事があり、その時のものです。」とDV行為ははっきりと否定しました。
今後の具体的な対応策が決まるにつれ、徐々にTさんにも元気が戻ってきたようで、「妻はこれまでに何度か、夜勤補助に行かなければならないと言って、夜に出掛けていたのですが、ひょっとしたらあれも嘘かもしれません。」と思い出したようにつぶやかれました。

ここに来てA子さんの浮気疑惑が浮上しましたが、これで不可解だった突然の失踪やDVのでっち上げもつじつまが合ってきます。という訳で、実家に戻っているA子さんの行動を調査する事になりました。結果わずか数日で、A子さんが男性と接触している事実が判明し、その後男性との不貞行為を複数回確認しました。自らの浮気を隠し、夫として落ち度のないTさんに対してDVをでっち上げ、離婚を目論んだA子さんの実態が浮かび上がりました。

その後、これらの証拠をもとにした弁護士さんの活躍により、DVの保護命令申立ては取り下げられ、離婚も回避できたのですが、いまだに別居状態は続き、子供たちに会わせようとしないA子さんに対し、面接交渉権を求めています。