人を呪わば…悪質な別れさせ屋の手口とは

弊社が加盟している一般社団法人日本調査業協会の自主規制に「いわゆる「別れさせ屋」に準じた事案については絶対にこれをしない。」とあります。理由としては様々な他の法律(刑法・弁護士法・民法等)に抵触する恐れがありますし、そもそも「工作活動」は探偵の仕事ではないからです。

今回は、その問題になっている『別れさせ屋』の被害についてお話しましょう。

A子さんは、20歳のときに交際を始めた彼がいて、交際期間は8年にもなっていました。長過ぎた春だったのか、突然彼から別れ話が出され、A子さんはあまりのショックに、それから1週間ばかり寝込んでしまいました。
彼から「ほかに好きな女性ができたから別れよう」と言われ、それ以来は会うことさえ拒絶されてしまいました。もちろん、A子さんにとっては、こんな別れ方では納得できようもありません。電話すら着信拒否される状況に、A子さんの怒りは頂点に達しました。なんとしても彼の新しい彼女を見つけ出して、彼との仲を引き裂いてやろうと考えるようになりました。

そうはいっても自分では手に余ることで、家族や友人に頼める話でもありません。その時、ふっと以前テレビで見た『別れさせ屋』という存在を思い出したA子さんは、インターネットを使い片っ端から調べ、そこで見つけたのが「あなたに代わって復讐します。」という物騒な宣伝文句の探偵社でした。
すぐさまホームページに書いてあったアドレスに問い合わせたところ、すぐに返信がきました。自分の心境を半ば相談するように打ち明けたところ、「別れさせるのは100%可能です。彼にも痛みを教えてあげましょう。」と願ってもない言葉が返ってきました。料金は経費別で80万円。しかも、失敗すれば料金は実費経費以外はすべて返金してくれるという内容でした。80万円はA子さんにとっては大金でしたが、これで彼にも私と同じ痛みを与えられるという思いで、さっそく指定された口座に当面の経費として10万円を含めた、90万円を振り込んだのでした。

それから2週間後、その探偵社からメールで「彼の行動パターンが把握できたので実行に移します。ある程度進行したらこちらから連絡します。警察にばれたら困るので、そちらからは当社に連絡しないで下さい。」という内容の連絡が入りました。A子さんは「警察」という言葉に、逆にそれくらいのことをしてくれるんだと、すっかり安心してしまい、吉報を心待ちにしていました。しかし、2ヶ月を経過しても探偵社からは何の連絡もありません。たまりかねたA子さんは、「どこまで進んでいますか?」とメールを送りましたが、「現在進行中です。」との返信メールがきただけで、それから何度メールを送っても、同じ文面のメールしか返ってきませんでした。
結局、お金を入金して3ヶ月後に、A子さんは完全に騙されたことを悟りました。その探偵社は、住所は○○市としか記載されておらず、電話番号も載っていないため、こちらから直接掛け合うことはできないありさまでした。警察に被害届を出そうにも、「彼に復讐するため依頼しました。」なんて訴えるわけにもいかず、また、依頼した証拠(契約書)もありません。
A子さんは泣き寝入りするしかありませんでした。不法行為を依頼した人間が不法行為(詐欺)に遭っても、なかなか救済しにくいことを、騙す方は十分に知っているからこそ、こんな詐欺探偵社が暗躍することになるのです。

A子さんにとって20歳からの8年間はとても大切な年月であったと思いますが、今のA子さんに必要なのは時薬で、きっと時が経てば冷静にそのときを振り返ることができるでしょう。
冷たい仕打ちのできる彼と別れて本当によかった、と思える日が来ると信じたいですね。