交際相手は何者?-2-

 依頼様より彼(以下M氏と呼ぶ)の写メール画像と身体特徴は教えていただいたものの、大勢の人が出入りするオフィスビルから一発でM氏を確認することは非常にリスクがあります。

そこでまず、M氏の出勤時間に本人確認を行うことにしました。依頼者様からの話では9時出勤ということでしたので、8時からM氏の会社があるビルを監視をしました。

ところが、M氏らしき人物はやって来ません。そこで9時過ぎに会社に電話を入れて確認したところM氏は出勤しており、取り次いでもらった電話口からM氏のかん高い声が響き渡ってきました。変に怪しまれてもいけないので、とっさに株の話を持ちかけ、昼過ぎに面会の約束を取り付けました。
しかし、そこで現れたM氏は依頼者様から預かった写メールの人物とは似ても似つかない男性でした。依頼者様と交際を続けてきた男性は、偽名を使っていたのです。

嘘がはっきりしたことで、依頼者様の懸念する不安はますます深まっていきました。この事態を受け、次の調査はM氏の名を騙っていた本人であるX氏の正体を突き止めることでした。
そこで次なる調査手法は、X氏が依頼者様の家に来たら、その後を尾行してX氏の自宅を確認することでした。ただこの方法は、X氏がいつ依頼者様に接触してくるのか分からないため、調査スタッフを常時待機させなければならない大変さもありますが、何よりも依頼者様の感情の変化という問題がありました。
彼女はX氏と会うことに激しい拒否反応を示しました。長い間、彼に騙されていたことが分かった以上、会うことが耐え難いことは容易に想像できました。しかし、X氏の正体を暴くためにも、なんとか一度だけ耐えてもらうしかありませんでした。
そこで、X氏が家を訪問したら「急に体調が悪くなり、女友達に薬を持って来てもらうように頼んでいる」といった具合で最低限の会話だけで済むように想定して、依頼者様に納得してもらいました。
その数日後、依頼者様から私たちに「今日会う約束をした」との連絡が入り、私たちも態勢を整えました。待つこと20分。依頼者様のマンション方向へ足早に歩いて来た男が、マンションを通り過ぎ、しばらくすると戻って来ました。
何かを警戒しているのは一目瞭然でした。その男は依頼者様のマンションに入って5分も経たずに出て来ました。同時に依頼者様から「体調不良ということで家の中に入れず追い返した」と連絡が入りました。

マンションを出たX氏は、尾行を警戒してか早足で歩いたり、隠れたり、急なUターンを繰り返したりしていましたが、尾行者の気配を感じ取れなかったのか、一定の歩幅で平和大通り方向へと向かい始めました。
普通、調査対象者が尾行を怪しんで警戒行動を取り出すと、まず尾行は失敗してしまうものです。が、今回は幸いにも彼女のマンション周辺の道路が碁盤の目のように区切られていたため、迷路のような場所がなく、東西南北4地点からの遠距離監視で、X氏の行動を把握することができました。

その後、平和大通りに出たX氏は再度周辺を確かめながら、駐車場に停めてあった普通車に乗り込み、平和大通りを東方向に走り出しました。車両とバイクによる追走の結果、どうにか住所を突き止めることができました。