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みなさん、どうすれば探偵になれるのかをご存知ですか?
探偵学校を卒業する?探偵事務所でアルバイトをする?
色々な方法があるとは思いますが、実はこれまでは届出や資格は全く必要なしに誰でも探偵になりたいと思えばすぐにでもなれたのです。
例えば、ある日あなたが探偵になろうと思い立ち、電話番号と「○○探偵事務所」など適当な屋号を書いたチラシを撒いて、依頼を受けるというような事もこれまでであれば可能でした。
業務遂行に必要となるスキルや依頼を獲得する営業方法などの現実問題はともかくとして、探偵社を開業しようと思えば、いつでも誰でも、すぐに開く事ができたのです。
その為、口頭契約や口頭報告に始まり、臨時アルバイトを雇って調査を遂行するなど調査力の低い業者や、法律知識をもたずに違法行為が含まれる別れさせ工作などを請け負う倫理観の低い悪徳業者、果ては詐欺まがいのぼったくり業者などが存在し、探偵業界にはダーティーなイメージが付きまとっていました。
しかしながら、平成18年6月に探偵業法が公布され、平成19年の6月より施行されました。
この法律の施行により、探偵業者は管轄の都道府県公安委員会に営業届出をする事が義務付けられたのです。
調査業に従事する者、いわゆる探偵の名簿の備え付けも義務付けられ、虚偽の記載などには罰則規程も設けられた為、アルバイト探偵を臨時で雇う事もできなくなります。
その他、契約時にキャンセル料の取り決めなどの重要事項について、依頼者へ書面を交付した上で説明する義務を課す事もこの法律では規定されている為、悪徳探偵社にありがちなキャンセル時の返金拒否などというトラブルを未然に防ぐ効果も期待できそうです。
制定されたばかりの為、まだまだ抜け道は多く、すぐに悪徳業者が淘汰されるというものではありませんが、施行後三年を目処にこの法律の施行状況や探偵業者の業務実態を勘案した上で、必要に応じて措置が講じられるとの事ですので堅実な努力を重ねている業者にとっては朗報でしょう。
しかしながら、この法律の第一条には「探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利・利益の保護に資する事を目的とする」との一文があります。
そしてその解説として「この法律は探偵業を育成・振興する為でなく、不透明な営業体質や暴力団員の排除を行い、契約書を明示し、その上で契約内容を誠実に履行させる事を義務付ける狙いがある」と述べられています。
探偵業界が諸手を挙げて待ち望んでいた探偵業法は実は探偵業界の育成振興を目的としたものではなく、あくまでも悪質な業者の排除・消費者の保護を目的としたものだったのです。
もちろん、きちんとした契約書を取り交わすなど当たり前のことばかりですし、暴力団員の関与を前提としたような規制をされてしまう事自体本当にすごい業界だと思います。
情けない扱いではありますが、結果的には探偵業界の清浄化に貢献するものと期待しております。
堅実に業務にあたっている私どものような業者(当たり前のことですが、当社はこれまでに依頼者様から訴訟を受けた事もない為、自画自賛しております)からみても、これまでの探偵業界には資格制度や届出制度すらなかった為、探偵業界は不健全なものでした。
平成の初めには約一千社と言われていた探偵社が、バブル経済の破綻以降「自称探偵」が増えに増えて平成15年に全国の電話帳に掲載された探偵業者だけで実に五千社を超えており、この十五年で五倍以上の増加になっております。
そしてそれに伴い、国民生活センターに寄せられた苦情相談の件数は平成12年に844件だったものが3年後の平成15年には約5割増の1357件となっています。
この件数は国民生活センターに寄せられたものの為、直接弁護士などに相談した場合の件数は含まれておらず、それらの隠れた数を足した実質的な苦情件数は計り知れません。
これらの状況を鑑みた平沢勝栄議員らの尽力により探偵業法は漸く立法されたのです。
探偵業法が施行されるにあたり大きな力となった平沢勝栄議員が、同法が制定される以前、国会の衆議院内閣委員会で平成一三年三月二八日に行った質問があります。
この質問は当時、探偵業界の在り方が問題になる中、業界の問題点の核心をつくなかなかの名質問だったと私は思っています。
議事録から抜粋してご覧頂きましょう。
○平沢勝栄委員
(前略)
今、日本は、色々な業界について、それを規制する業法というのがある訳でございますけれども、その業法の全くない、ループホールといいますか、野放しの業界というのもあるわけでございます。
その中には、例えば、調査業、俗に探偵とか興信所と言われておりますけれども、この調査業というのも全く業法がないわけですから、例えば暴力団が電話一本で今日からビジネスを始めようとすれば、これはできるわけでございます。
(中略)
この業界については、全く国民の皆さんに被害とか問題がなければ、それはそれでいいんですけれども、現実には、私の知る限り、相当大きな被害が出ている。
にもかかわらず、全く当局の規制というか、業法の制定もなされていない。
それはいかがかなということで、二年前にも私、地方行政委員会で質問させていただき、警察庁の方から、法制化も含めてこれらについては今後検討してまいりたいという答弁をいただきました。
その後の取り組み状況についてぜひ今日、答弁をいただきたいと思うんです。
まずは調査業についてお伺いしたいと思うんですけれども電話帳というのがありますね。
タウンページというかイエローページ。
あれを見ますと、五〇ページくらい、ものすごいものです。
ものすごい調査業の広告が出ているんです。
依頼する人は、どこに依頼していいかわからないから、そういうところを見て恐らく依頼するんでしょう。ところが、いろいろ聞いてみますと、あそこの電話帳は、もちろんいい業者もいるでしょう。
ところが、いいかげんな業者も少なからずあるらしいんです。
そこに依頼する。
そうしますと、全然調査もしないで料金を吹っかけられるとか、あるいはなかなか解約に応じないとか、そういったトラブルが絶えない。
二年ほど前で、大体推定で最低百億以上の被害はあるだろうと。
しかし、依頼する方も依頼内容を隠したいという心理が働きますから、表に出ない被害もいっぱいあるだろうという事が言われているわけでございます。
(中略)
日本はいろいろ被害があるいもかかわらず、今なお立法がなかなか進まない。
それはどこに事情があるのか。
(中略)
ご所見を聞きたいと思います。
という様な平沢勝栄衆議院議員の国会質問でした。
見事に一般庶民の立場から見た業界の腐敗体質を彼独特の口調でとらえた質問でしたね。
この平沢代議士の質問の中に、非常に大きな問題点がある事に気づかれた読者の方はいらっしゃるでしょうか。
質問中にあった被害額は最低百億でしたね。最低で百億ですから、これが氷山の一角に過ぎないとすれば、実際には数百億の被害にのぼっている可能性もあるのです。
逆にいえば、被害額だけで数百億の規模ということは、業界における調査依頼全体の額は数千億の規模になるでしょう。
探偵業を身近に感じる機会はそうないかもしれませんが、調査が必要な方はこのようにたくさんいらっしゃるのです。
ある意味で、適正化・透明化が進めば、調査業は社会に必要とされる業種であるといえるでしょう。
調査を依頼したい人がいても、自分の期待に応えてくれる探偵社をどうやって探せばよいのか、電話帳でいい業者をひきあてる確率は予想以上に低く、運頼みに近いのです。
信頼できる業者を選ぶ第一歩目から大きな難関が立ちはだかっている業界なのです。
だからこそ、このたびの業法は、消費者の為の法律でありながら、探偵業者が待ちわびていた法律に他なりません。
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